特許
特許についてのページです。特許について新着順に記事を並べています。
特許
iPS細胞特許セミナー
この講義は文部科学省iPS細胞ネットワークという京大のiPS細胞ネットワーク本部の依頼で弁理士会のバイオライフサイエンス委員会の委員が主として担当している。
iPS細胞研究の研究拠点は山中伸弥先生の京都大学はもちろんだが、東京大学、理科学研究所、慶応大学等多数ある。私の場合はそれらのうち、東北大学担当になったというわけだ。
東北大学眼科では、細胞シートを目にかぶせて治療する角膜治療にiPS細胞由来のシートを使うことを試みているようだ。
iPSに関しては、最近でもいろいろな新しい方法が出ていて、京大山中伸弥教授の特許ですべてを押さえられるかは未知数である。最近でもドイツで1個の遺伝子だけでiPS細胞が作れた、という発表があった。
それ以前にも、2つの遺伝子でiPS細胞を作れるというもの、snRNAのサイレンシングの機構を利用するもの、化学物質を使うもの等が特許出願されている。
しかし、山中先生の米国の一部継続出願(CIP)は非常に範囲が広いので、もしこれが成立すればES以外全てを含む特許になる可能性はある。
iPSは日本発の技術だが、米国に利用特許を押さえられるおそれがある。何とかして日本がアドバンテージを保てるよう、オールジャパン体制で臨みたいものだ。
知的財産立国のモデルとしてぜひこのiPS細胞特許の知財を戦略的に取得し、iPS細胞関連特許でも世界をリードできるようにしたいものだ。
知的財産研修会
これまでにやった特許・知財戦略セミナーのスライドを順番を入れ替え、さらに、その官庁の要望に沿うつもりで新しいスライドも追加し98枚にした。
医薬、食品、化粧品の特許に関する話題以外にも、特許オークションとかパテント・トロール(patent troll)問題についても触れた。農水省の知財戦略等についても少しだけ触れた。あらゆる話題を網羅しようとしたがある意味散漫な内容になり、それをたったの90分で説明したのでかなり駆け足になってしまった。もう少し、ストーリー性をしっかり持たすことが課題と思う。
最初は2時間以上のつもりで作成したのだが、実際には1時間30分だったので、時間的に少し足りなかった。その分は不要な部分をはしょって説明したのでちょうど3分くらい残して終了できた。
みなさん、3日間の研修の最後の講義というのに熱心にメモを取るなどされていたのでやってよかったと思う。
知財のセミナーの場合、やはり、聴衆の興味を知る必要がある。
明細書作成講座などの場合は最初から大体の筋書きが作れるが、知財戦略研修と言っても、初心者向けか、ベテラン向けか、大企業向けか、中小企業向けか、機械メーカーか電気メーカーか、あるいは、製薬企業か、など来るメンバーによって説明する内容が非常に変わってくる。
最近では医薬品特許の延命化のセミナーを実施したが、こちらはテーマを絞っただけにより高度な内容になった。
他には大学の教員向けの初心者向けセミナーをやったりもした。この場合は特許庁の初心者向けテキストにそって説明するくらいでよいので、非常に楽である。
気を使うのは製薬企業で10年以上知財部にいるような人を相手にするとかなり気を使う。しかし、それなりのやり方もわかっているので、今後もセミナーは続けて行こうと思っている。
私の場合、知財戦略ができることからあらゆる聴衆に対応可能である。
アグリビジネスから医薬、食品、化粧品業界などの化学業界、弁護士、公認会計士等の士業向け、公的研究機関向け等どこでも知財戦略は必要となる。
そして相手の立場に合わせて内容を修正しやすい。
これまではセミナー屋さんに頼まれたり、人づてに頼まれてやってきたが、もう10回以上やっているのでそろそろ自分で主催してやってみようかと思っている。
その場合の値段がちょっと考え物だが、通常のセミナーは1人5万円で募集しているので、それより少し安いくらいだろうか?
自分のノウハウを全て提供するセミナーを是非やってみたいものだ。そうすることでまた新たなノウハウが開発されるはずだからだ。知恵は吐き出さないと新しいものが出てこないので、一度何らかの形で吐き出したいと思っている。
アメリカの特許法改正
アメリカのレーダー判事が東京医科歯科大学主催の講演会で話したところによると、先発明主義から先願主義への移行と欧州のグレースピリオド導入はバーター条件のようで、欧州の場合は法改正は1カ国でも反対したらダメなので多分決まらないだろう。すると、先願主義の導入もなくなるかも知れない、というようなことを言っていた。
また、米国の3倍賠償の問題は最近の最高裁判例により解決できるので、ルールの改正は必要なく、法案から外されるだろうとのことだった。
アメリカでも何となくプロパテント政策を修正するような動きがある。
ただ、それに賛成なのがIT関係で、バイオ関係のバイオベンチャーや製薬企業は反対の意向を表明している。そもそもIT業界とバイオとでは特許1件の重みが違うので同じ法律で扱うのには無理があるように思われる。
また、判例法については、日本でも判例により実務が変わることはあるが、アメリカのようにしょっちゅう変化することは無い。
やはり、イギリスのような判例法中心のためだろうか?
それにしても、同じような体系のイギリスとアメリカでは特許の扱いがまるで違うと思う。イギリスの判決は非常に詳細な検討がなされており、まるで特許庁のような細かい無効理由まで詳細に判断している。
そして同じ特許に対する判決もアメリカとは全く異なる場合がある。
特許法のハーモナイズも重要だが、こうした裁判上の違いは文化の違いや法体系の違いもあるのでそう簡単にはハーモナイズできないように思われる。
特許だけでなく、訴訟制度も含めてハーモナイズしないと企業にとっては面倒である。とはいえ、世界特許裁判所ができることも考えにくいので、やはり、訴訟は各国で異なるのは止むを得ないのかも知れない。
私も外国判例のセミナーをしたことがあるが、各国の判例を調べるには法制度も知る必要があり非常に大変だった。
これを日常的にやっている国際的な弁護士は本当に大変だろうと思う。
弁理士にしても何十カ国も出願するとなると翻訳チェックも無理だし、法制度もそれぞれなので非常に大変なことになる。とはいえ、それに見合った報酬をもらえるなら別に問題は無いとも言えるが。
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特許情報フェア
特許調査やパテントマップのソフトウエアは以前に行ったときよりも相当レベルアップしており、特許調査の中間段階の履歴が知財部員全員で見れるようなシステムなども開発されていた。
特許調査をした場合、パテントマップにまでしておかないと、単なる文献集めだけで終わってしまう。しかし、その履歴があれば、また同じような検索をする場合に、キーワードやIPC(国際特許分類)、Fターム等がわかるので、便利である。
特許情報フェアではセミナーもあり、米国の知財ビジネス事情や特許オークション、米国での契約交渉等の話が面白かった。これらのセッションは事前申し込みで満員でキャンセル待ちだったのだが、キャンセル待ちの列に並んでいたら比較的簡単に入れた。並んでみるものだ。今回はキャノンのインクリサイクルの最高裁判決については話題になっていなかった。単純な事件だったためか、あまり話題性が無いようだ。フジフィルムと似たようなケース等であれば話題になったかも知れないが。
私自身は米国での契約交渉や契約書チェックの経験から、契約交渉の話は非常に面白かった。知っていることも多かったが、事例や判例で話をされると理解が深まる感じだった。
また、日本と米国でのletter of intentの扱いについても、日本では信義誠実の原則から有効な契約とされることが多いのに対し、アメリカでは原則non-bindingとなる。これはアメリカでは契約の内容が明確でなければならないためだそうだ。
日本でも契約については確定性が求められるが、letter of intent程度の確定性でもよいらしい。日本の研究者は契約はできるだけあいまいな方がいい、とわかったような口をきくが、それでは通用しないことを知財部員が教育する必要があるだろう。
また、欧州特許庁のesp@cenetについては、pdfで全文をダウンロードできるようになったそうで、1ページずつ100ページ近い公報をダウンロードしなくて済むと思うと非常にありがたい。
日本も早く公報全文のpdfのダウンロードをしてもらえるといいのだが。
拒絶査定
しかし、特許事務所が作成した意見書の内容が間違っていたりすると、一発で拒絶査定になることがある。
特に特許庁審査官の発明の認定が間違っている、と意見書で書いたときに、こちらの発明の認定が間違っていると救いようがない。
こうしたことを避けるにはやはり補正をしておいた方が無難ではないかと思われる。
補正にも実質的には権利範囲を狭めない減縮補正もある。そうした補正をして提出すれば最後の拒絶理由通知が来るケースもある。
ともあれ、拒絶査定が来た場合、基本的には審判請求には慎重になるのが通常の実務だろう。費用もかかるからだ。
事業に使うなど重要な特許であれば迷わずに拒絶査定不服審判を請求することもあるが、通常の場合はそこまで権利化にこだわらず、そのまま放置することが多い。
そういう意味では拒絶理由対応の際に何とか権利化できるよう減縮補正して特許査定を得るようにするのがよい。そのためには面接審査を有効活用して特許取得できるようにすべきだ。
最近では進歩性の判断が非常に厳しくなってきている。これは侵害訴訟で無効になる特許が多いためとも言われている。
なので、しっかり特許調査をしてできる限り有効な権利取得に努める必要がある。日本の公報だけでなく、今後は米国の特許も調査するくらいやることが必要かも知れない。
費用対効果も考えてやる必要はあるが、研究者は自分の分野だけなので、そこまでやるのがよいだろう。
特許性を判断するWikipediaが米国で開始
そして、それに不服がある場合には、より経験のある、審判官3名の合議により特許性が判断される。
さらに、それでも不服がある場合は、知財高裁、最高裁まで争えるようになっている。
ところが、最近の審査はスピードを重視するようになり、なかなか審査の過程で十分な議論ができない場合が増えてきたという話を聞く。
例えば、面接が昔のようにはできなくなった、面接を申し込んだが、断られた、という弁理士が何人もいる。
やはり、1人の審査官で非常に広い分野を完全にカバーして間違いの無い審査をすることはよほど優秀な審査官でないと難しいのではなかろうか?
だが、今回のWikiのシステムでは、誰でも審査(現状では、特許化されているものの特許性、市場価値等)に参加でき、その特許の評価が書き込めるようになるらしい。
現状は特許だけだが、将来的には審査に関する情報提供も可能になる見込みだという。
だとすれば、審査官もそういう情報も見たうえで判断できるので、より精度の高い判断ができるのではなかろうか?
もちろん、悪用する人も出てきて、しょうもない特許性の低い発明を非常に優れた発明のように見せる書き込みをすることも可能かも知れない。そして、それを組織的にやる商売が出てこないとも限らない。
とはいえ、やはり、有用であることは間違いあるまい。
そして、ライセンスインにも、ライセンスアウトにも使えると思うので、技術移転という意味では非常にいいシステムとも言えよう。
米国知財Wikipedia
拒絶査定
拒絶査定不服審判を請求して、前置審査の段階で面接をしてもらい、何とか特許にできそうな状況である。
ほっと胸をなでおろした。
事業やライセンスがかかっている場合に拒絶査定が来ると非常に緊張する。
大多数の特許はそれほど重要ではないケースが多いのだが、実際に事業に使っていたりするとそれが特許になるのとならないのとでは雲泥の差が出てくる。
重要な特許については出願、審査、そして審判の全ての段階で細心の注意が必要だ。
事業やライセンスをやっている場合には、自分でそうした責任をかぶることになるので、非常に責任重大なのだが、うまく対応できたときは本当にほっとする。
最悪なのは、自分の先の出願で拒絶理由が来て、利用発明として成立しないような場合だ。そうしたときはどちらか一方を活かして、もう一方を禁反言覚悟で批判するというようなことをせざるを得ないのかもしれない。
用途発明
実際私の担当案件でも、化粧品だが、用途発明として認められないということで拒絶理由をもらった。
医薬の場合は、用途が明確だが、化粧品や食品はそれほど明確に用途を意識して購入することが少ないかららしい。
それでも用途を明確にした商品の場合に認められる場合もあるのだが、現状ではそうした化粧品、食品は少ないらしい。
地域興しやベンチャーには食品の用途発明を認めてもらいたいものだ。地域ブランドのように、特産品に限って機能性食品としての用途発明を認めてはもらえないのだろうか?
いずれにしても、プロパテント、知財立国と言いながら審査、審判がどんどん厳しくなっているように感じるのは私だけだろうか?
広くて強いクレーム
今日は米国の限定要求に対応した。
米国は非常に単一性の範囲が狭く、日本では認められるクレームでも5つとか複数に分けないと認められない。
今回の出願は各グループの要素が非常に限定されていて、
1つや2つのグループを権利化してもエスケープが極めて容易にできるクレーム構造になっている。
こんなときは非常に情けなくなる。もっとしっかりした明細書とクレームを作り、
エスケープが容易にはできない強い権利をなぜ最初から作らなかったのか?と、明細書の作成担当者を非難したくなる。
しかし、こういうことがあると、次からの出願では、何とかしてエスケープできないようなクレームを作り、
事業独占ができるかと考えるようになる。
徹底的に考え抜いた、いいクレームを作りたいものだ。
今日は新人のトレーニングをしながらそう感じた。
特許ライセンスと事業化
確かにIPOすれば数十億から数百億の収入が得られるので特許ライセンスに比べれば、桁違いの収入になる。
ライセンスで10億以上稼げるものは非常に少ない。
だから、特許ライセンスするよりも自分で事業を立ち上げ、IPOするのが最も効率がよいことは確かだ。
しかし、私の知人でベンチャーを立ち上げた人もいるが、皆、資金繰りに苦労しているようだ。
10億、20億レベルの借金をしている。
こういう場合でもIPOできれば30億以上の収入が入るので借金は返済できる。
スタンフォードのホームラン特許でも最高で280億。それも長い年月をかけて最高がこれで、次は80億位のはずだ。
これに対し、ベンチャーで成功すれば、最低でも30億、うまくいけば400億が数年で手に入る。
やはり、特許で稼ぐのであれば、ライセンスよりは事業化だと思う。
特許明細書
明細書を書く際には、発明者から実施例をもらえない場合、空欄にしておくか、想像で書くことになる。
想像で書くのはかなり負担にもなる。
わかっている人はほとんど完全な明細書をくれるので非常に楽だが、初めて明細書を書く人の文章は、
人によっては非常にわかりにくく冗長になっていて、ゼロから書いた方が早かったりする。
これは、研究者が論文ほど推敲しないことによる面がある。研究者の中には特許は雑用で、論文の方が大事、という考えの人も多い。
しかし、最近では、アカデミアの世界でも特許も業績に入るし、論文を書く前に特許を出しておけば業績が2倍になる。
(論文と同じカウントになるかどうかは別として)
企業の研究者であれば、論文よりも特許を書く方が人事評価は高くなることが多い。
また、最近の公的資金を取りに行く場合に特許出願があることが条件になっているケースも多い。
そういう意味で特許を書くことは研究費が増え、業績も増えることにつながるし、
人事評価も高くなるのだから研究者はもっと特許を書くことにプライオリティを置くべきだろう。
知財部員も特許になるかどうかぎりぎりの発明を何とか知恵を絞って特許性のある発明にしていい特許に仕上げていきたいものだ。
発明の進歩性について
このようなときは、必死で進歩性のある部分を探そうとするのだが、データが不十分で全ての実験データを使っても進歩性を主張できないことがある。
例えば、既にわかっている薬の有効成分とほぼ類似の物質を合成して、活性もほとんど同じで少しだけ高かったような場合だ。
このような場合、合成方法に困難性があるとか、物質自体に異質な効果があればいいのだが、そうした困難性がなく、また、効果もやや上回る、といった程度の場合がある。
そのままではいくら考えても進歩性のある請求項が作れない。
そうしたときは潔く出願を諦めるか、もう少し進歩性のあるデータを揃えてから出願するのがよい場合もある。
しかし、本当にそういう場合だけだろうか?
もっと知恵を出せば進歩性が出せるケースがあるのではなかろうか?
特許ライセンス交渉
相手もどんどん自分の有利な方向に持っていこうとしているので、どこで折り合いをつけるか、が問題になる。
交渉で一番強いのは、じゃあ止める、と気楽に言える立場だろう。
今回の場合は、相手先から欲しいと言ってきた案件なので、こちらから断ることは可能だ。そういう意味ではやりやすいとも言える。
しかし、相手の方も、じゃあ、要らない、と言える場面でもある。
一般に、ライセンス交渉はいつでも「要らない」と言える、開発の初期の段階でやるのが望ましい。
開発がほぼ完成し、製品化直前になってあわててライセンス交渉すれば当然に足元を見られる。
と、言っても、早めにライセンスを受けたが、実際の製品には使わないということもありうる。
製品化に必須の技術かどうかで判断するしかないだろう。
特許ライセンス収入と経営
業績が悪化した責任を取った形だ。
プラズマテレビに社運をかけて事業を拡張したが、うまく行かなかったようだ。
特許収入は好調らしいが、現実の事業がうまく行かないとやはり苦しい。
昔のビクターが特許収入が好調だったが、それ以外がうまく行かなくなっているのとどこか似ているかもしれない。
特許収入がいくら好調でも、現業の方で収益を上げる仕組みが必要だ。
特許のライセンス収入に頼る経営は危険である。
やはり、自社の製品を開発、製造、販売する事業を持つか、特許を継続的に出してライセンス収入で成功する山崎俊平氏のような開発力を持つか、いずれかを明確にして戦略を立てるべきではないかと思われる。
審判請求後の費用
一定の補正をすれば特許になる、というものだ。
審判をする場合、着手金が20万程度、成功報酬が10〜20万、補正が5万、特許になったことの成功謝金が10〜20万といったところが大体の相場だ。
すると、補正して特許にすると、審尋後で、20万〜50万位かかることになる。
しかし、通常は審判まで行くのは重要な特許であって、それ位の費用がかかることはわかった上で審判を請求している。
それ以上の収益が見込めるからこそ審判請求をしているということだ。
逆に言うと、儲からない出願でむやみに審判請求をするとコストアップになるということでもある。もっとも、普通は審判請求の前の、審査請求や補正の段階でコストパフォーマンスを考えて捨てるべきものは捨てることになるだろう。
特許事務所の経営
月300万は軽くオーバーしているそうだ。
(もっと稼いでいる人もいるでしょうが...)
かなり前に開業弁理士の平均年収が2000万程度と言われていたが、その倍近い売り上げをあげている。
その一方で、ある事務所の幹部の先生は、事務所の経営が苦しくなって経費があまり使えなくなり、最近高級クラブに行けなくなった、と嘆いているという噂を聞いたことがある。
弁理士もこれからどんどん数が増加して、競争が激しくなってくるだろう。
大手の事務所と言っても突然クライアントが買収され、買収先の特許事務所に顧客を奪われるということも起こりうる。
そうしたことは防ぎようが無いので、そうなった場合にどうするかは常に考えておく必要がある。
そういう意味では大手のクライアント1社に大きく依存した経営はそうしたリスクがあるので、そうしたリスク管理も含めた経営センスが今後は今まで以上に必要になるように思う。
特許ライセンス交渉
特許ライセンスの場合、時期がかなり重要だ。
数年前なら数千万でライセンスできたものが、今では不要ということがあった。
数年も経てば代替技術が出てきて、以前の特許の価値がなくなったということだ。
だからライセンスにはタイミングが非常に重要だ。
また、世の中の進み方も考慮しなければならない。
常に条件をぎりぎりで出して交渉締結まで1年位かかるのは大企業間の交渉ではよくあるが、海外のベンチャー相手の場合はまずい場合がある。
特に相手が正直ベースでぎりぎりのオファーをして来た場合は、言い値で折り合った方がよい場合もある。
海外の相手にメールだけで交渉するのはかなりの危険を伴うので注意が必要だ。
ホームラン特許
新人が入り、少しは仕事が楽になると思っていたら、逆に仕事が増えているような感じだ。
仕事ができるような環境になると、やることはいくらでも作り出せる。
しかし、成果が出ることをやらなければ無駄な仕事を作るだけになる。
特許出願も出せばよい、というものではない。
実際に事業化できるものでなければ単なるコストに過ぎず、知財部がコストセンターになってしまう。
プロフィットセンターにするためには、ホームラン特許を狙うだけではリスクが大きいのでヒットとなる特許を増やすことも考える必要がある。
しかし、ヒットを打つことすらかなり難しい。
ヒットを出しつつ、ホームランも狙う、ということができればベストなのだが。
既判力
傷害罪の場合、親告罪ではないので、告訴の時効はその罪の大きさにより定まる。
ところで、民事訴訟の既判力というものがあり、これは訴訟物である権利関係の判断については、一度判決が確定すると、その後新しい証拠が出てきてもそれは立証責任の問題となり、立証できなかった方が悪いので再度その証拠に基づいて訴訟を起こすことはできない、ということになる。
無効審判にも一事不再理の規定があるが、刑事訴訟法でも一事不再理というものがあり、これらは全て過去のものに対する判断なので後から変化することはない。
これに対し、侵害訴訟で、「被告は金○○円を支払え」という判決が出たとして、その後、被告が支払えば、その後は、この債権は消滅するので、いつの時点が判断の基準かということが問題になる。
そこで民事訴訟法では、口頭弁論の終結時を判断の基準時として、例え、口頭弁論終結後に訴訟外で金○○円を被告が原告に支払ったとしても、両者が取り下げをせず、そのままにしておけば「金○○円を支払え」という判決が出るのである。
そして、この、口頭弁論終結時以後の事情を元にして再度、損害賠償請求権不存在確認訴訟を起こしたとしても既判力は及ばない点に注意が必要である。
小発明も重要
職人的な技能が必要とされる手法をロボットを使って制御し、誰でもできるようにする、というようなケースである。
研究をやっているといろいろ不便と感じることがある。これがもっと簡単にできたら、と思うことはしょっちゅうある。
そうした不便を解消できるような発明をすることで、研究自体が進むだけでなく、ツールの発明も生まれ、特許収入につながる可能性がある。
同様に、毎日の事務作業で不便を感じるケースもある。そのようなときは発明のチャンスと言えよう。
そのようなちょっとした不平、不満をメモしておき、発明につなげられるとよい。
最先端技術を開発するのもよいが、後端技術、あるいは、ローテクと言われる分野でも優れた発明が生まれることはある。
発明のネタは毎日のちょっとしたことにもたくさんある。
デファクトを取るような最先端技術も重要だが、非常に難しい。
最先端技術開発の過程でも、開発ツールも同時に発明していけば各ステップで成果が残る。
ちょっとした発明が売れることもあるので、小発明も大切にしたいものだ。
ホームランばかり狙わずにヒットを積み重ねて収入を得ることも優れたやり方である。
知財分野へのブログテーマの変更
左上のGoogle adsenseの分野がメルマガとかアクセスアップとかになっている。
ここが早く、知財関係の発明、考案、意匠、商標、著作権、不正競争防止法等の関係のバーにならないといけない。
さて、昨日知財メルマガを書くのが大変だと書いたら、今日早速メールをいただいた。こういう時メルマガを書いていてよかったと思う。
始めて1月が過ぎ、少しマンネリ気味になりそうだったが、また新たな気持ちでよい記事を書いていきたい。私のメルマガ、ブログで一人でも役に立てるとすれば非常にうれしい。
ところで、私のメルマガは長すぎるかも知れないのでちょっと工夫が必要だと思っている。これは次号までに何とかするつもりである。
また、弁理士受験生に役立つような小冊子も書こうと計画している。
知財関係の記事の開始
やはり、ブログといえばlivedoorの方が使いやすく、カスタマイズしやすいからです。自分のブログに関する知識が増えてきたので自由度の高いlivedoorも使いこなせるところまで来たということでしょう。
元はと言えばこのブログでは潜在意識を使った成功法則のようなものを書いていました。
少しづつ、特許、知財に関する記事を書いて行きます。
発明者の方、弁理士受験生の方を主な対象とし、それ以外の知財にも触れていきます。
私自身は弁理士で実務家です。
元々は研究所で研究者をやっていました。
最近では、マーケティングや経営戦略も勉強しています。
よろしくお願いいたします。