2005年12月
2005年12月13日
広くて強いクレーム
今日は米国の限定要求に対応した。
米国は非常に単一性の範囲が狭く、日本では認められるクレームでも5つとか複数に分けないと認められない。
今回の出願は各グループの要素が非常に限定されていて、
1つや2つのグループを権利化してもエスケープが極めて容易にできるクレーム構造になっている。
こんなときは非常に情けなくなる。もっとしっかりした明細書とクレームを作り、
エスケープが容易にはできない強い権利をなぜ最初から作らなかったのか?と、明細書の作成担当者を非難したくなる。
しかし、こういうことがあると、次からの出願では、何とかしてエスケープできないようなクレームを作り、
事業独占ができるかと考えるようになる。
徹底的に考え抜いた、いいクレームを作りたいものだ。
今日は新人のトレーニングをしながらそう感じた。
2005年12月09日
特許ライセンスと事業化
確かにIPOすれば数十億から数百億の収入が得られるので特許ライセンスに比べれば、桁違いの収入になる。
ライセンスで10億以上稼げるものは非常に少ない。
だから、特許ライセンスするよりも自分で事業を立ち上げ、IPOするのが最も効率がよいことは確かだ。
しかし、私の知人でベンチャーを立ち上げた人もいるが、皆、資金繰りに苦労しているようだ。
10億、20億レベルの借金をしている。
こういう場合でもIPOできれば30億以上の収入が入るので借金は返済できる。
スタンフォードのホームラン特許でも最高で280億。それも長い年月をかけて最高がこれで、次は80億位のはずだ。
これに対し、ベンチャーで成功すれば、最低でも30億、うまくいけば400億が数年で手に入る。
やはり、特許で稼ぐのであれば、ライセンスよりは事業化だと思う。
2005年12月07日
特許明細書
明細書を書く際には、発明者から実施例をもらえない場合、空欄にしておくか、想像で書くことになる。
想像で書くのはかなり負担にもなる。
わかっている人はほとんど完全な明細書をくれるので非常に楽だが、初めて明細書を書く人の文章は、
人によっては非常にわかりにくく冗長になっていて、ゼロから書いた方が早かったりする。
これは、研究者が論文ほど推敲しないことによる面がある。研究者の中には特許は雑用で、論文の方が大事、という考えの人も多い。
しかし、最近では、アカデミアの世界でも特許も業績に入るし、論文を書く前に特許を出しておけば業績が2倍になる。
(論文と同じカウントになるかどうかは別として)
企業の研究者であれば、論文よりも特許を書く方が人事評価は高くなることが多い。
また、最近の公的資金を取りに行く場合に特許出願があることが条件になっているケースも多い。
そういう意味で特許を書くことは研究費が増え、業績も増えることにつながるし、
人事評価も高くなるのだから研究者はもっと特許を書くことにプライオリティを置くべきだろう。
知財部員も特許になるかどうかぎりぎりの発明を何とか知恵を絞って特許性のある発明にしていい特許に仕上げていきたいものだ。
2005年12月05日
発明の進歩性について
このようなときは、必死で進歩性のある部分を探そうとするのだが、データが不十分で全ての実験データを使っても進歩性を主張できないことがある。
例えば、既にわかっている薬の有効成分とほぼ類似の物質を合成して、活性もほとんど同じで少しだけ高かったような場合だ。
このような場合、合成方法に困難性があるとか、物質自体に異質な効果があればいいのだが、そうした困難性がなく、また、効果もやや上回る、といった程度の場合がある。
そのままではいくら考えても進歩性のある請求項が作れない。
そうしたときは潔く出願を諦めるか、もう少し進歩性のあるデータを揃えてから出願するのがよい場合もある。
しかし、本当にそういう場合だけだろうか?
もっと知恵を出せば進歩性が出せるケースがあるのではなかろうか?