2011年11月28日

弁理士試験

今年の弁理士試験は最終合格者721人ということで、一昨年をピークにやや減少している。

しかし、それ以上に志願者数が減っている。

大変な割には業界が縮小気味なこともあるのかも知れない。

大手特許事務所で電気、機械系の仕事が減って困っている特許事務所もある。

某自動車メーカーは知財予算を7割にしたという。

そこをメインクライアントにしていれば、売上が7割になるということだ。もちろん、あまり減らない事務所もあれば、すごく減らされたり、発注が無くなる事務所もあるだろう。

すごく減らされたり、発注停止になれば特許事務所も死活問題になる。

それに最近では、会社の統廃合でどちらかの会社が使っていた特許事務所に統一して発注するようになると、発注が無くなる事務所も出る。そういう特許事務所は苦しくなって他の特許事務所に吸収合併されたりすることもある。

今後も出願数が増加することはあまり考えられず、弁理士合格者数はどんどん増えてくるので、特許業界自体があまり伸びていく状態ではない。競争が激化し続けると思われる。

トップクラスの弁理士はこれまで以上に稼げる一方で、非常に収入の低い多くの弁理士も出る可能性もある。弁理士の受験勉強をする場合は、相当な覚悟が必要になるのではなかろうか?あるいは、資格を取っておいて、会社にずっといるというのもいいように思う。
firstrategy at 23:50|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)
2011年11月16日

Facebookやってます

こちらの更新を2年もやっていなかったとは自分でも驚きました。

最近の更新はFacebookやAllaboutの方でやってます。

Facebookページは以下です。ご興味があれば「いいね!」を押していただけると嬉しいです。

http://ja-jp.facebook.com/patent.trademark.ohira.firm

発明・発見・アイデア研究会

firstrategy at 03:25|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)
2011年11月15日

驚くべき無知

最近のコメントで山中先生を中傷するようなものがあったので即刻削除しました。しかも正確な科学的知識が無いことがあまりにも明らかでした。

もし、そういうコメントをされる人は100%山中先生に会ったことの無い人だと思います。また、論文も読んだことがないし、最近の研究もフォローしていないのでしょう。

他人のブログに書き込む前に、せめて、こちらのページを見て、どういう内容かを勉強するべきです。

京都大学iPS細胞研究センター


人の悪口を言って自分が正しい、と主張する人はどこの世界にもいますが、笑止千万です。

人を批判する時間があるなら、自分の努力をする方がよほど建設的です。

本当に建設的な批判であれば、直接本人に言うのが筋で、ブログのコメントに書くのはナンセンスです。

削除する時間すらもったいないようなコメントは掲載いたしませんのでご了承下さい。
firstrategy at 16:49|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)
2009年09月07日

iPS細胞特許セミナー

東北大学病院でiPS細胞特許に関する先月講義をしてきた。別のブログで書いたのだが、こちらにも書いておこうと思い、もう1月前の話だが、書くことにする。

この講義は文部科学省iPS細胞ネットワークという京大のiPS細胞ネットワーク本部の依頼で弁理士会のバイオライフサイエンス委員会の委員が主として担当している。

iPS細胞研究の研究拠点は山中伸弥先生の京都大学はもちろんだが、東京大学、理科学研究所、慶応大学等多数ある。私の場合はそれらのうち、東北大学担当になったというわけだ。

東北大学眼科では、細胞シートを目にかぶせて治療する角膜治療にiPS細胞由来のシートを使うことを試みているようだ。

iPSに関しては、最近でもいろいろな新しい方法が出ていて、京大山中伸弥教授の特許ですべてを押さえられるかは未知数である。最近でもドイツで1個の遺伝子だけでiPS細胞が作れた、という発表があった。

それ以前にも、2つの遺伝子でiPS細胞を作れるというもの、snRNAのサイレンシングの機構を利用するもの、化学物質を使うもの等が特許出願されている。

しかし、山中先生の米国の一部継続出願(CIP)は非常に範囲が広いので、もしこれが成立すればES以外全てを含む特許になる可能性はある。

iPSは日本発の技術だが、米国に利用特許を押さえられるおそれがある。何とかして日本がアドバンテージを保てるよう、オールジャパン体制で臨みたいものだ。

知的財産立国のモデルとしてぜひこのiPS細胞特許の知財を戦略的に取得し、iPS細胞関連特許でも世界をリードできるようにしたいものだ。

2009年01月03日

新年のご挨拶

新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。


ここ数か月ほとんど更新しませんでしたが、今年は心を入れ替えて更新していこうと思っております。

今年もよろしくお願い申し上げます。

私は1昨年会社を退職し、現在、TLOに勤務しながら自分の特許事務所を立ち上げました。

今後は新サービスも含め、企業の皆さんに有益なサービスを提供していきたいと思っております。

もともとはマーケティングに強い酒類・食品会社にいたので、経営戦略、マーケティング戦略はかなり勉強しました。それを活かして、バイオの特許戦略や知財延命化戦略のセミナーを数回行いました。

昨年はその戦略部分をさらに強化するために丸島先生のゼミで研究を重ねております。

丸島儀一先生は言わずと知れたキャノン特許部隊を率いる最強の特許部隊を作った先生です。

現在も経済産業省等から相談を受けたり、委員会のメンバーであったりで、最新の情報にも精通されています。

その丸島ゼミでは、知財戦略を教えてくれるのですが、それについては個別のコンサルティングには使えるものの、ブログ等では書いてはいけないようです。

ですので、私としては、個別コンサルティングをやって行こうと考えています。

まずは自分の勤務しているTLOの知財戦略に活用してTLOを発展させようと考えています。企業訪問もやってますので、機会があれば読者の会社にも訪問するかも知れません。

メルマガの方もあまり発行できなかったですが、ようやく慣れてきたのでまた発行を再開しようと考えています。

最新の知財戦略のバックグラウンド、それに加えて大学の最先端技術の専門知識をバックグラウンドとして配信していく予定です。

今年もよろしくお願いいたします。
firstrategy at 23:55|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)知財 
2008年07月04日

山中伸弥教授のiPS細胞

山中伸弥教授(京都大学)のiPS細胞の講演が先日国際会議場であった。国際バイオエキスポ(EXPO)というセミナーだったが、広い会場が満員で、立ち見も多かった。

おそらく、1000人以上が聴講していたのではなかろうか?

iPSの話自体は私も以前に聞いていたので、特に目新しい話は無かったのだが、iPSの誘導のやり方が何通りかある、という話を聞くと、特許的にどうなのだろう?と思ってしまう。

特許は言うまでも無く、独占するためにあるのだが、そのためには、考えられるあらゆるバリエーションについて全てを含むようにクレームする必要がある。

そうすれば、水ももらさぬ特許明細書が書ける。

ところが、いくらでも代替技術が出てくるような技術の場合は、独占することは不可能に近い。

ウィスコンシン大学でも山中教授とは異なる遺伝子セットでiPSの誘導に成功しているし、京都大学では物質によってiPSを誘導する試みも進んでいる。

つまり、iPS細胞の誘導にはいくつものルートがあるというわけだ。

だとすれば、山中教授の発見した遺伝子セットの一部を置き換えて特許をすり抜けることも可能だろう。

これが遺伝子組換えのコーエン・ボイヤーのような特許を出願していたのであれば、別だが、エスケープ容易な特許しか出願していないとすると、非常に問題である。

また、ヒトの前にマウスで成功していて、そのままのやり方で成功していることから進歩性の問題もある。

iPSのような発明は広い特許で押さえ、一般に安く開放するのが望ましい。

だが、iPSの誘導が容易であることから、今後世界中のどこのラボでもiPSの誘導ができるようになり、研究が爆発的に進むだろう。

そうなれば、山中教授がノーベル賞を取れる可能性は高まると思われる。そういう意味では日本にとって喜ばしいことではあるが、特許で金儲けという考えはあまりうまく行かないのではないか?と思えてならない。
firstrategy at 18:23|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)知財 | 発明
2008年06月12日

特許ライセンス交渉

特許ライセンス交渉の研修が今日あり、模擬交渉等を行った。

交渉はまともに人間性が出るような感じがした。

押しの強い人はやはり交渉でも押しが強く、普段から何を言っているか分からない人はやはりよくわからない論理で交渉していた。

普段から譲ることに慣れている人はやはり、簡単に相手に説得されていた。

意外だったのは、普通の人に見えた人が交渉で完全に主導権を握って、完璧なWIN-LOSEの関係で100%相手に呑ませたことだ。

特許ライセンス交渉の場合、もちろん、交渉術の達人も多くいるわけで、特に海外のライセンス交渉ではそうしたテクニックを知った上で交渉に臨む必要があるのだが、今日の場合は、そういうバックグラウンドを持つ人がどのくらいいたかはわからない。

重要な交渉の場合、入念な下準備が必要である。

一瞬でも気を抜くと相手の術中にはまってしまい、一言が大失敗につながることもある。

もっとも、こちらには権限がない、役員が反対した、等と言って逃げることは可能ではあるのだが。

そしてライセンス交渉の場合、独禁法等の一般法の知識も持っていないと、違法な条件に合意するおそれもある。

例えば、抱き合わせ販売やアサイン・バック、独占グラント・バック等である。

こうした知識を持っていれば、相手が無茶な要求をしてきても、それは違法だから、の一言で拒否できる。

特許ライセンス交渉は人対人の関係であるので、人間性もかなり影響がある。

ライセンス交渉がうまくなるには法律、交渉術の両方をマスターする必要がある。
2008年06月11日

特許流通促進事業

特許流通促進事業というのがある。

これは以下のような趣旨で始まったと聞いている。日本の特許出願は非常に多いのだが、そのうち半分以上が使われていない、その中で使えるものを有効活用しよう、ということだ。

特許流通事業の社会に及ぼす経済効果は累計で約3000億にも上ると言われているほどである。(もっとも、これは事業全体の経済効果なので、直接特許が寄与した部分だけではない、という批判もあるが)

以前企業に勤務し、今は特許事務所を経営する身としては、企業が使わない特許は他の企業に持って行っても使われない可能性が高い、と私自身は考えていた。

しかし、実際には特許流通により成功している例も多く見られる。

例えば、大企業が使わなかった特許を中小企業が実用化して成功している例もいくつもあり、また、企業が秘密にしているために、把握できないものも含めれば数十件以上はあると思われる。

考えてみれば、企業が業績が悪化したり、合併したりすると、経営資源の選択と集中が起こり、多くのテーマが中止されることはよくある。

また、大企業の高額の人件費をまかなうことはできなくても、中小企業の低賃金であればペイする事業もある。

あるいは市場規模が小さくて大企業ではボツになったテーマでも、中小企業なら十分大きいと感じられる市場もあるだろう。

さらには、大企業、中小企業とも、現存する特許のどれだけを把握しているかと考えれば、専門の知財部員ですら、会社の全ての特許を把握しているかどうかは疑わしい。

さらに、発明は見方によっては大きな市場を生み出すビジネスモデルにつながることもある。これは属人的な要素が強いと思われるので、発明者が使い道を見つけられなかったとしても、他の人には非常に重要な技術であるというケースもある。

そういう意味では特許流通事業は非常に将来性のある事業と思われる。

発明シーズをいかにして事業化するか、企業ニーズとずれている大学の発明をいかにしてフィットさせ、実用化につなげるか?

こうした知恵があれば発明を事業化して成功することができる。実際に1人で年間数十件の特許ライセンス契約を成立させる特許流通アドバイザーもいるそうだ。

アメリカはプロパテントにより経済を活性化したが、日本でも優秀な特許流通アドバイザーにより地域を活性化できている。今後の発展が楽しみである。
2008年03月25日

画期的な発明・発見と潜在意識

大ヒットしている「ザ・シークレット」ですが、発明に関する記述もあります。
より詳しくは特許の基礎知識メルマガの方に書いてありますが、要するに、視覚化することで創造的な発明ができる、ということです。


英語ではvisualizationというようです。


これはアポロ計画の際に、デニス・ウェイトリー博士が学び、その後、体系化して80年代以降のオリンピック選手の強化プログラムに取り入れたそうです。


そういえばスポーツ選手のイメージトレーニングは有名ですね。
イチローや高橋尚子の本にも出てきます。


強く視覚化すると願望が実現する、とは多くの成功哲学が書いてあります。
発明、発見でも同じこと、というわけです。
より詳しくは下の書籍を読むかCDをお聞き下さい。


ザ・シークレット日本語版




英語で聞きたい方はこちら




実は視覚化を非常に容易にする方法があります。
それは宝地図、ビジョン・ボードを使うやり方です。


そのやり方はこちらのメルマガを読めばわかります。


宝地図を作ると夢や願望が叶うと言われています。これは潜在意識にイメージを送り込むのに宝地図が非常に有効だからです。宝地図によって、中学生や高校生の成績が上がったり、仕事で1億円の受注をしたり、車やマンションを手に入れる人が続出しています。あなたも宝地図を作って自分の夢を実現してみませんか?読者になると収入を増やす宝地図の無料レポートももらえます。

宝地図を作ろう!夢実現のための潜在意識活用メルマガ
http://www.mag2.com/m/0000260383.html







目標達成のための行動 - livedoor Blog 共通テーマ
2008年03月14日

特許ライセンスの楽しみ方

経営コンサルタントの福島正伸さんのセミナーに昨日参加した。非常に面白いセミナーでしかも事例が多くかなりためになった。

福島正伸さんによると、失敗する事業は無い、そうである。

どんな事業でも成功する、と言っていた。

そして、難しい事業程、学ぶことが多いのだそうだ。

産業の少ない、行政依存度の高い岩手県や島根県等は絶好の学ぶチャンスだそうだ。

起業したい人も少なく、産業もあまり無い。そうした難しいところほどノウハウを蓄積できる。

これを特許で稼ぐということにあてはめて考えると、特許で稼ぐこと自体は企業であればそれほど難しいことではない。

もちろん、発明を発掘し、きちんと出願し、特許化すること自体は簡単とは限らないのだが、企業の場合、事業に特許を活用して稼ぐこと自体は普通のことである。

だが、例えば、大学の基本的な特許を販売するというのは構造的にかなり難しい。元々事業化を考えずに研究として面白いからという理由で研究をしているのだから企業の開発研究とは目的からして違う。当然マーケットは特に検討していない。そして早期(アーリー)というよりも、アーリーのアーリーとも言える、実用から非常に遠い技術である。

こういう特許を売りに行くことは非常に難しい。

だが、福島先生流に考えれば、そんな売りにくいものを売る工夫をすれば何でも売れるようになる、ノウハウが蓄積する、ということになるのだろう。

ピンチはチャンス、とよく言われるが、難しい仕事ほど最高に面白い。そういう考えで仕事を楽しみたいものだ。