2005年10月14日
事前契約の重要性
生物多様性条約というものがある。
誤解を与えることを恐れずに簡単に言うと、
発展途上国が主に主張しているもので、その国から微生物や植物等を採取していって何かいいものが出ればロイヤリティを払え、という趣旨の条約である。
発展途上国が自国の資源が先進国に搾取され、自国の利益になっていないことから一部の国が言い出して作られた条約のようだ。
この場合、例えば、ヨーグルトの菌とか漢方薬の薬草のように、その国の国民の知恵が入っているものであれば、ロイヤリティを支払うというのは理解しやすい。
しかし、例えば、道端に生えている雑草を持ち帰り、そこから新しい効果のある成分を抽出して薬にした場合にまでロイヤリティを支払うのは妥当なことだろうか?
そのままにしておけば何の価値も生み出さずに放置されていただけかも知れない。
その国では放置して利用されていなかった生物資源を国外に持ち出すことにより、新たな発見ができたとして、そのどこにその国の知恵が含まれているのだろう?
特許は創作を保護する。生物資源を提供したからといって特許を共有にするかどうかは当事者間の契約に委ねられる。契約が無ければ特許法の解釈に従い、アイデアの発案者、アイデアの具現者が発明者となる。生物資源の提供者がこのいずれにも該当しない場合、発明者にはなりえない。
この場合にはその生物資源の対価だけの問題だ。その支払い方法のバリエーションの一つとして成功報酬型のリーチスルーライセンスも存在するが、一時金で買い取るというやり方もある。これらは生物資源の提供をするに当たって事前に当事者間で取り決めておくべき問題だ。
何も決めてなくて、うまくいったら一番たくさんもらえるリーチスルーライセンスを寄こせ、と言っても、契約が無ければ、法的には何の拘束力も無いだろう。この状態で裁判をしても勝てる見込みは無いだろう。
例えば、政治家が昔やっていたらしいが、鉄道が将来通る土地を安く買占めておき、その後、高値で売って儲ける、という手法がある。
この場合、土地を売った人は後から鉄道ができて地価が値上がりしたのだからその差額を寄こせ、と言って訴訟を起こしたら勝てるだろうか?
あるいは、土地を売った後、その土地から温泉が出たから追加料金を支払え、ということが言えるだろうか?
これで勝てると思っている人がいるとすれば法律的なセンスを疑う他ない。販売時の正当な価格で売却したのだから、単に情報収集能力が無かったということだ。これらは民事的な事項であり、契約自由の原則、私的自治の原則に委ねられ、裁判をしても勝ち目はないと思われる。
特許も同じようなものだ。
500万で売った特許が100億の儲けを生むことは決して珍しいことではない。だからと言ってその差額をよこせ、と言ったら笑われるだけだろう。買った会社は自己責任でリスクを犯して事業を行っているのである。また、その特許の価値をきちんと理解できなかったのは自己責任という他ない。
最近この自己責任を全く棚上げして上記に類する主張をする人が存在することを知り、非常に驚いた。世の中にはいろんな人がいるものである。この人が裁判を起こして相手が普通に対処したら即敗訴になるだろう。
もっとも、そうは言っても国際的な政策面から上記のような名目で援助するケースはありうる。それと特許法の論理とは全く次元の違う話である。
誤解を与えることを恐れずに簡単に言うと、
発展途上国が主に主張しているもので、その国から微生物や植物等を採取していって何かいいものが出ればロイヤリティを払え、という趣旨の条約である。
発展途上国が自国の資源が先進国に搾取され、自国の利益になっていないことから一部の国が言い出して作られた条約のようだ。
この場合、例えば、ヨーグルトの菌とか漢方薬の薬草のように、その国の国民の知恵が入っているものであれば、ロイヤリティを支払うというのは理解しやすい。
しかし、例えば、道端に生えている雑草を持ち帰り、そこから新しい効果のある成分を抽出して薬にした場合にまでロイヤリティを支払うのは妥当なことだろうか?
そのままにしておけば何の価値も生み出さずに放置されていただけかも知れない。
その国では放置して利用されていなかった生物資源を国外に持ち出すことにより、新たな発見ができたとして、そのどこにその国の知恵が含まれているのだろう?
特許は創作を保護する。生物資源を提供したからといって特許を共有にするかどうかは当事者間の契約に委ねられる。契約が無ければ特許法の解釈に従い、アイデアの発案者、アイデアの具現者が発明者となる。生物資源の提供者がこのいずれにも該当しない場合、発明者にはなりえない。
この場合にはその生物資源の対価だけの問題だ。その支払い方法のバリエーションの一つとして成功報酬型のリーチスルーライセンスも存在するが、一時金で買い取るというやり方もある。これらは生物資源の提供をするに当たって事前に当事者間で取り決めておくべき問題だ。
何も決めてなくて、うまくいったら一番たくさんもらえるリーチスルーライセンスを寄こせ、と言っても、契約が無ければ、法的には何の拘束力も無いだろう。この状態で裁判をしても勝てる見込みは無いだろう。
例えば、政治家が昔やっていたらしいが、鉄道が将来通る土地を安く買占めておき、その後、高値で売って儲ける、という手法がある。
この場合、土地を売った人は後から鉄道ができて地価が値上がりしたのだからその差額を寄こせ、と言って訴訟を起こしたら勝てるだろうか?
あるいは、土地を売った後、その土地から温泉が出たから追加料金を支払え、ということが言えるだろうか?
これで勝てると思っている人がいるとすれば法律的なセンスを疑う他ない。販売時の正当な価格で売却したのだから、単に情報収集能力が無かったということだ。これらは民事的な事項であり、契約自由の原則、私的自治の原則に委ねられ、裁判をしても勝ち目はないと思われる。
特許も同じようなものだ。
500万で売った特許が100億の儲けを生むことは決して珍しいことではない。だからと言ってその差額をよこせ、と言ったら笑われるだけだろう。買った会社は自己責任でリスクを犯して事業を行っているのである。また、その特許の価値をきちんと理解できなかったのは自己責任という他ない。
最近この自己責任を全く棚上げして上記に類する主張をする人が存在することを知り、非常に驚いた。世の中にはいろんな人がいるものである。この人が裁判を起こして相手が普通に対処したら即敗訴になるだろう。
もっとも、そうは言っても国際的な政策面から上記のような名目で援助するケースはありうる。それと特許法の論理とは全く次元の違う話である。
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この記事へのコメント
3. Posted by Instruction Lottery Numbers Sc 2006年11月05日 20:20
I use Firefox in Ubuntu :)